「性別役割分業」なぜ女性にデメリットが多いの?

「性別役割分業」=夫は外で仕事、妻は家事と育児という家庭内での男女による分業制。男性中心の社会システムの中で、女性が従属的になることで社会全体にメリットもたらした信念体系です。

何が社会システムにとってのメリットになったのか?

大きく2つあります。一つ目は、女性が家事や育児という家庭内での再生産労働を担うことで、夫である男性は早朝から夜遅くまで仕事に没頭でき、社畜としての役割を全うできたこと。女性の方は、経済活動の周縁と位置付けられるアンペイドワーク(無償労働)を押し付けられたという図式になります。その中には「介護」も含まれていました。年老いた夫の両親(プラス自分の両親)の介護まで無償で行い、日本は長い間、ケアワークの社会化を先送りし、私的資源としての女性のアンペイドワークを使い続けてきた形です。その結果女性はいつまでも経済活動の周縁に追いやられることなりました。

2つ目は、家計補助の形でパートで働くということが、結果的に女性パートの賃金を低く押し下げ続けてしまったということです。これは企業にとっては安く人材を活用できるメリットとなりました。これに決定的影響を与えたのが、1986年に開始された第3号被保険者制度です。。夫の扶養内であれば、毎月の年金は払わなくても老後の年金が支払われるという制度です。夫の会社の社会保険に扶養内として組み込まれるためには、年収を130万円以内に抑える必要があります。そこでこの年収内に抑えるために、妻は多少時給が低くても130万円以内に抑えるためには「仕方ないかな・・」、という形でさほど強い疑問も持たないままこれまで制度が継続されてきています。

女性にとってのデメリット

この社会にとってメリットは、反対に女性にとってはデメリットとなりました。それは、女性はこれまで経済活動の周縁でアンペイドワークに従事することで、”自分で稼ぐ力”を身につける機会を得られなかったこと。また、たとえ働きに出たとしても短時間でのパートであり、経済的自立を果たせるような給与を得ることができなかったこと、プラス短時間勤務のため補助的な業務が多く、高度なスキルを身につけることができなかったという点です。

不思議なことにこの性別役割は、特に政策として明記されているわけでもないのですが、私たちの暮らしに浸透しています。「個人的なことは政治的なこと」という言葉があります。前述のような第3号被保険者制度等を作り出すことで、知らず知らずに個人の生活の中に装置化されたジェンダーの仕組みが潜むことになります。

今や専業主婦世帯は共働き世帯より少なくなって少数派となり、性別役割の意識も薄くなりつつあるのですが、例えば労働市場では今だに女性パートの賃金は低いままであり、共働きでも女性の家事負担の方が男性よりはるかに大きいというデータも出ています。私たちはこれら多くのデメリットを乗り越えて、不確かな未来のためサバイバルして生き抜かなくてはなりません。

今回お伝えしたことは、一つの視点、女性が経済活動をして稼ぐという視点からの話です。性別役割分業全部が女性にとってデメリットだけではなかったことも事実です。例えば地域活動やボランティアで人を助けることに人生を捧げた方もたくさんいらっしゃいます。人生の中で何にプライオリティを置くかでその方の人生の幸福感も決定的に違ってきます。今回の記事のような考え方も説としてあるということを知っておいていただきたいと思います。

[ 「性別役割分業」なぜ女性にデメリットが多いの? ]フェミニズム, 2020/05/01 08:56